キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 単に、私の食いっぷりがいいからってこと?

 私は唖然としながら、口も半開きにして宙斗くんを見る。すると、宙斗くんは意地悪な笑みをこちらに向けてきた。

「作り手としては、見てて気持ちいい」

「……それ、褒めてるの? 貶してるの? どっちなの?」

「さあ、どっちだろうな」

 明らかに含み笑いをしている宙斗くんに、私は頬をぷっくり膨らませた。それを見た宙斗くんは、ぷっと吹き出す。

「餅みてぇー」

「だから、なんでおせち料理!?」

 意地悪く笑う宙斗くんに、いい加減ツッコミ疲れた。でも、きみが笑ってくれるなら、笑われてもいいや。こうしてそばにいられるだけで、幸せなことだよね。

 そんな幸せをしみじみ噛み締めながら、私はお弁当を平らげた。

 突っ込みとボケを交互にこなしてコントを繰り広げながら昼食を食べ終えた私は、宙斗くんの横で寝そべる。せっかくなので、ふたりで昼休み終了時間まで屋上でのんびり過ごそうということになったのだ。

「ふう、お腹いっぱいで幸せ」

 満腹になると眠くなるのって、なんでなんだろう。お腹をさすって、私は眠気と戦いながらウトウトする。

 隣で片膝を立てて座っている宙斗くんは、私の顔をのぞき込むや否や呆れた顔をした。

    

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