キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 曖昧に笑って、私は事情を説明した。話を聞き終えると美代はスラッとした足を組みながら「そう……」と思案顔で顎に手を当てる。

「拗らせちゃってる男子の匂いがするわ」

「「……は?」」

 楓と見事に声がかぶった。

 深刻そうな顔で、なにを言い出すかと思えば……。

「出た、美代の超男子分析力」

 楓はニッと笑って、人差し指を立てる。そう、楓の言う『超男子分析力』とは、今までの恋愛経験を駆使して男の子の趣味や趣向、性格がわかるのだとか。美代は「ふむふむ」と頷き、真顔で告げる。

「しいて言うなら、乙女系男子かしら」

「ひっ、いやー、どうかなー?」

 やだ、このエスパーっ。どうしてわかるの!

 私は慌てて取り繕ったのだが、美代は意味深に「ふふっ」と笑う。それは、完全に確信を得ている笑みだった。

「え、あのクール王子が? それはないだろ」

 楓は顔の前で、ナイナイと手を振っている。

「そうかしら? 見えてるものなんて大抵は作り物、嘘よ」

「美代ってさ、世界を偏って見すぎじゃね?」

「あら楓、本質を見抜いてるって言ってほしいわ」

 にっこりとする美代の今の顔こそ、あからさまに作りものだ。顔は笑ってるけど、楓の言葉に内心は腹立ってるんだろうな。

 苦笑を浮かべていると、美代が私を見つめる。

    

< 83 / 178 >

この作品をシェア

pagetop