キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
「ふふっ、楽しみ!」

「それはよかったわ。なら、これから水着を買いに行きましょう。とびっきりセクシーなやつをね」

「美代先生、ご教授お願いします!」

 テーブルに三つ指をついて深々と頭を下げれば、「私に任せなさい」と美代が私の肩に手を乗せる。その目が怪しく光った気がしたけれど、恋愛に関して美代は伝道師だ。任せておけば大丈夫だろうと、さきほど見たものは気のせいだと思うことにした。

「お前、純潔は守れよ」

「楓、それはなんの心配!?」

 仕事に戻っていく楓に手を伸ばすも、すでに遠い。

 それから私は「ふふっ」と意味深に微笑む美代に連れられ、たくさんのお店をはしごした。あれやこれや着せ替え人形のように着替えさせられて、それはもうくたくたになったほど。そして散々悩んだ結果、私にしてはかなり背伸びした大人っぽい白のビキニを購入したのだった。

 約束の日、私は少し早めに待ち合わせの駅前にやってきていた。今日はブルーのボーダーが入ったブラウスに、ハイウエストの白いショートパンツ。足元はパンツと同じ色のサンダルで、マリンテイストのファッションにまとめてみた。

 足をこんなに出した服を着るのは、実は初めてだ。

    

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