キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 最近アイスを食べ過ぎちゃったし、足を出すのに抵抗があるな……って、今日水着を着るのに、いまさらなに言ってんの!

「ああっ、もっと早く海に行くって言ってくれれば、この日に備えてダイエットしたのになぁ」

 でも、今日はデートに来てるつもりで肌を出せって美代様にご教授いただいている。この服も水着を買った日に、美代に選んでもらって買ったものだ。

「それにしても……待ち合わせまで五十分もある。さすがに早すぎたかな」

 ワクワクしちゃって眠れなくて、ソワソワして早く家を出ちゃうとか……。本当、小学生と同じ思考回路だ。

 美代みたいに大人っぽくなれたら、宙斗くんは私のことを好きになってくれるのかな。どうしたら、振り向いてもらえるんだろう。

「いやその前に、女嫌いをなくしてもらわないと……」

「お前、なにひとりでブツブツ言ってんだ?」

 うしろから声をかけられて「え?」と振り返る。そこにはグレーの七分丈ティーシャツに、ジーパン姿の宙斗くんが立っていた。首元にはシルバーアクセサリーが輝いており、落ち着いた大人のコーディネートが彼らしいなと思う。

 今日もラフな格好なのに、どうしてこんなにカッコいいんだろう!

 叫びそうになったので、口元に慌てて手を当てる。そして「むうぅ~っ」と謎の奇声を放ちながら悶えた。

    

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