*SOUZI*
「家茂様に挨拶に行くんだから、光に会えるかもしれない、総司どうする?」

改めて近藤が問う


「俺の分もよろしく伝えて下さい」


遊びに行くのではない、仕事なのだから
自分が行くべきではない

きちんとわきまえていた


〝光に会いたい〟



心は、そう叫んでいた

「文とか、渡す物がありゃ預かるぜ?」

永倉の申し出に、考える

「文…」

それほど会話をしていないから、ネタがない

「あ…」

数日、考え

江戸組が出発の朝


「永倉さん、コレ光に」


それは、光の父兄が作った湯飲みにそっくりな湯飲みだった

「似てると思って買ってたんだ」


その言葉で、ずいぶん前に買って
渡せなかったのだとわかった


皆にクスクス笑われながら
永倉に湯飲みを託した





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