*SOUZI*
不思議だった

驚きもせず、動揺せず
すんなり、受け入れた


気づかないふりをしていたのかもしれない


今日、たまたま酒で体の変化を自覚していたからか、咳が出たからか


なぜか、落ち着いていた




「お薬を」

そう言って、女に抱き起こされる
口に薬を入れられ、水の入った湯飲みが傾けられた時、沖田は初めて娘の顔を見た

「…どうも」

「どういたしまして」 

娘の顔が江戸でふった娘にそっくりだった
彼女は、喉元に刃物を刺し自害しようとした
一命取り留め、すぐに嫁にいったが
今、目の前にいる娘の喉元には傷などなく
別人なのは明白


労咳だと聞いたときより
明らかに動揺した



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