綾の秘密の夏休み
「俺と綾で対決しようよ」


「対決?」


テーブルに向かい合って座ってリョウと話す綾は、少しずつ自然に受け答えが出来るようになっていた。


「餃子対決。どっちがたくさん食べられるか」


「男子には勝てないよ…」


綾の口にほんのりと笑みがこぼれる。


「対決したら二人とも口すっげーニンニク臭くなりそうだね」


「そんなのやだ」


思わず綾は素で答える。


恋愛小説のデートじゃあり得ないなと綾は思った。


「絶対ラブ」の二人の初デートは、お洒落なパン屋さんで買ったサンドイッチを河原で食べていた。


でもそれを言って笑われたくなかったので、綾は口にしなかった。


「神社いこ」


本を閉じてリョウが席を立つ。
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