綾の秘密の夏休み
短髪をワックスで固めたツンツンのヘア。

脱色したウェーブの前髪が目元を隠している男。


横谷と座間だった。



「ねね、なにしてんの」



綾の身体は一気に硬直する。


「こいつ横浜から来たんだって」


田舎だからか、綾の情報が自然と知れ渡っていた。


「仲良くしようよ」


横谷と座間は綾の向かいの席に勝手に座る。


「転校生じゃないんでしょ」


「学校きてなかったよね」


ズケズケと綾に突っ込む二人に綾は完全に硬直した。横浜の中学校でいじめられていた記憶がみるみるよみがえってくる。


「いつも図書館にいんの?」


「図書館てマンガ読めんの知ってる?」


「うわ羨まし。俺らがまじめに学校の間にマンガ読んでたのかよ」


お願い早くいなくなって。綾は黙って下を向いたまま祈る事しかできない。
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