綾の秘密の夏休み
「今度遊びに行こうよ」


横谷が綾に言う。片足はトントンと貧乏ゆすりしている。


「いつまでいんの?」


「なんか喋ってよ」


「口ついてないのかよ」


綾がなにも言わないので横谷と座間はつまらなそうな顔をした。


「今度はなんか喋ってねー」


そう言って二人が去ると、綾は胸に手を当ててやっとハアハアと息をした。


呼吸が苦しい。


オレンジジュースを一口飲むと、神社の境内で見たリョウの顔を思い出して綾の気持ちは少し落ち着いた。
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