天秤に、隕石。
あれから月日が流れている。
私の日常は変わらず、毎日男に絶望しながら、男に抱かれる、無責任な女のままだ。
それでも、楽に楽に生きる為に使ってきた天秤を、突如吹き飛ばした極彩色の隕石は、私を潰すことなく、夜毎優しい目で、私の生命を見守っている。
かつて、皿に乗せていた愛情や、欲情や、金や、努力、怒りや悲しみや喜びが、今、空気に溶けて、この頼りない私の日常が少しづつ変化するのか、分からないけれど。
赦せない私を赦して。
いつかあなたを赦せるように。
そっと、今夜も、赤い靴を履く。