19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。
お医者様って、そんなにすごいのかな。

わかんない。

だって学校じゃバカにされるだけだから。

偉いさんたちにとっては、すごいんだろうな。


「ねえ、こっち来てからお父さんと食事、してないよね」
「そうね、来たばかりで忙しいから仕方ないわよ。そうでなくったって忙しいんだから」
「いつも思うけど、こんなんなら別々に住んでても良くない?私この島キライ」


あのタイミングで死ねなかったことで、言っても無駄だと経験済みのことを蒸し返してしまう。

リビングの大きなソファに体を投げ出すように座って、ダイニングで食事の支度をしている母に毒を吐き出す。


だけど。

母は決まってこう言う。
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