19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。
広すぎる天蓋付きのベッドにもぐりこみ、枕を集めて小さく丸まって泣くしか出来ない自分がたまらなく嫌だ。


どうして自分は産婦人科医の娘なんかに生まれたんだろう。

生まれは、選べないのかな。

どうして子供は住むところや学校を自分で選べないのかな。

親の仕事の都合であちこち連れまわされて、こんな目に遭っても、黙って通い続けないとならないのかな。


答えの出ない問いが、砂嵐みたいな耳鳴りと一緒に頭の中で渦を巻いている。


ぐるぐる。

ぐるぐる。


とても耳障り。
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