19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。
そうだとしたら、今日はきっとからかわれる。

ううん、もう来ないかもしれない。


そう思ったら、途端に気持ちがしゅんとしおれるのがわかった。

デッキのある灯台岬に向かう上り坂を漕ぐ足に、力が入らなくなる。

でも、でも。

来なかったら初めの計画通りに海へ飛び込めるんだから、そう自分に言い聞かせて、もう一度足にぐっと力を込めた。


< 33 / 74 >

この作品をシェア

pagetop