19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。
いろいろびっくり。

高校行かないとかもだけど、いろいろ考えてるんだなって。

勝手な偏見で、悩みとかなさそうに見えてたから。


「昨日、本当にごめんな」
「え?」
「転校ってか、引っ越しのことだよ。羨ましいなんてさ、これは俺の本心だけど、やっぱごめんって」
「ううん、私たち、まるで反対だもんね。ここだけで暮らしてる来栖君と、引っ越ししまくりの私。私も逆に羨ましいって思うもん」
「純でいいよそこは。俺も祈梨って呼んでるし」
「ってか、私、呼び捨てでいいよって言った覚えないんですけど?」
「ダメ?じゃあ祈梨様!」
「極端!」
「えー。じゃ浜口さん?」


自分でダメ出ししておきながら、浜口さん、が学校の人たちが呼ぶのと同じに感じて、ぞくりとした。

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