19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。
住むところ、進む道を選べない辛さ、よくわかるよ。

転々とする私とここから出られない純、正反対だけど、根本は同じ。

全部、大人の都合だ。


「それな!そういや祈梨の親父さんは何してんの?転勤でこの島って、うちそんな転勤とかある会社あるんだっけか」


うんうん、と頷いていたら、私の話になってしまった。

それを話したら、純もきっと…


「ん、と…」
「言いたくねーの?なら別に言わなくてもいいぜ。それよりさ、」


ううん。

純はきっとそうじゃない。

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