19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。

「…では、浜口さん。続きを」
「えっ？あ、っとすみません、何ページでしょうか」


いけない、授業中だった。

私は慌ててテキストを開いて、パラパラと今やっているページを探した。


「26ページだけど、大丈夫？具合でも悪い？」
「いえっ、大丈夫です」

「大丈夫？だってー。うちらだったら絶対そんなこと言わないで怒るくせにね」
「やっぱ違うよねー」


ひそひそと、後ろのほうで囁く声が聞こえた。

先生の特別扱いが、辛い。

普通に怒ってくれたら、風当たりも少しはマシなんじゃないかって思ってしまう。

私は俯いたまま立ち上がり、小さな声で指定されたページを読み上げた。