19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。
教室に響きわたる男子たちの冷やかす声が頭を占領して、消えないまま蓄積されていく。

どんどん重なって、膨らんで、割れそうに痛い。


うるさい、うるさい、うるさい!


女子たちは「やめなよ!川瀬さんがかわいそう!」なんて言ってそれを止めようとしてる。


…そうだね。

私はかわいそうじゃないよね。

もう嫌だ。

ここにいたくない。


私は耳を塞いだまま教室を飛び出した。

助けて、純。

純に会いたいよ。
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