19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。
「祈梨ぃ!」


純の家の前の緩いカーブを曲がって、登り坂にさしかかりサドルから立ち上がったところで呼び止められた。

今したばかりの決心が簡単に崩れる。


「純…なんでいるの?」
「寝坊した!」

まるで朝が人の姿をしてるみたいな爽やかすぎる笑顔で、悪びれもせず純が大きな声で返事をくれた。

「おはよう、ってか、なんかあったのか?」
「ん…」
「とりあえず、ココじゃなんだから」

私たちは丘の展望デッキに向かった。

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