19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。
***

展望デッキは相変わらず閑散としていて、私はさっき起きたことを純に全部うちあけた。


「…わかった。実は俺もさ、親父と喧嘩しちまって。親父はとっとと漁に出たから喧嘩ってほどのもんでもねーんだけど…なんかもういいやって」


爽やかに笑ってた純が、眉をひそめて苦く笑った。


「なあ祈梨。一緒に…死のうか」
「え…!?」


耳を疑った。

まさかそんなこと純が言うなんて思ってもみなかったから。

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