19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。

生と死の境目なんて、本当はこんなものなのかもしれないな、とも思った。

この前は明るい気分になったことで、死ぬのをやめた。

でもそのあとにもっと嫌な思いをして、結局また死を選んでここに来た。


だったら。


楽しい思い出を最期の記憶にして旅立つ方が、いいんじゃないか。

そんな気さえしてきた。


だから。


「うん!そうしよう」
「決まりな!」


こうして、私たちは小さな家出の計画を立てることにした。
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