19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。

まず、船着き場までは別々に行く。

そこで初めて会って仲良くなる設定で。

大人たちにはハキハキと目を見て、私は参考書を買いに行くと言い、純は素直にプチ家出だと言う事にした。

素直に言えば、帰ったら怒られるだろうけど探したり連れ戻されたりはしないだろう、純がそんなふうに言っていた。

船の中でも念入りに初対面を意識して、学校の事やお互いのことを話そうと決めた。

知り合いばかりの島から怪しまれず出るには、ここまでしないといけないんだな。

本土に着いたら、夕方まで思いっきり遊ぶ。

帰りは17時30分の最終便。

1時間で島に戻って、また別々に帰る振りをして、展望台へ向かう。

それでだいたい19時少し前だから、暗くなるまでお話しタイム。

そして…

夕日の赤い色が消えたら。

二人で。

サヨウナラ、だ。


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