19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。

「おはようございます!」
「あら先生のとこの。船に乗るんかい?」
「はい!欲しい参考書があって、調べたら取り寄せだと時間かかるみたいで」
「偉いねぇ、うちの子も受験だってのにちっともやりゃしないよ。まあ島の高校は名前さえ書きゃ受かるって言われてるからねぇ、あっはは」
「それじゃあ、失礼します!」
「はいよー、気を付けてねぇ」

船着き場の手前に人がいたから挨拶。

受験生って言ってたから同級生の誰かのお母さんなんだろう。けど、私にとっては知らないおばさんだ。

本当にみんな、自己紹介ナシで世間話に持っていくのやめてほしい。

とりあえず、計画どおりに自分から挨拶をして、ハキハキと目を見て話した。

ちゃんとできたかな?

できてたよね?

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