19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。
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船を降りた。
けど、中心街までは気を抜いてはダメだ。
誰が見てるかわからない。
案の定、乗客はぞろぞろと私たちと同じ市街地行きのバスに乗り込む。
島の人たちとは、純が行きたいと行った街のすぐ手前にある病院まで一緒だった。
それでもこっちの地元民も多くて、バスの中ではあれこれ話しかけられることなく静か。
バスの中でも他人のまま過ごして、結局、本土に着いても街に出るまで一言も交わせなかった。