時計の針を左に回したら。
あいつの姿は直ぐにわかった。

まだ高校一年なのに身長は180を超えていた。

そして一年のくせに試合に出て、先輩に指示を送っているあの姿。

ボールは全然取られない。

強豪校なのにあいつのプレーは飛びぬけていた。

顔を真っすぐに上げてゴールを見る眼差し。

「ねえ、どう思う?かっこいいでしょう?」

ユッキの声も全然耳に入らない。

周りのキャーキャー言う声も聞こえない。

聞こえるのはあいつの声と、どくんどくんと高鳴る自分の心臓の音だけだった。
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