愛しのメガネちゃん
ボコッ
俯いている俺の頭にぶつかる二つの物体。正直痛いんですけど…遠慮というものをしらないのだろうか?
「っ!!」
非難しようと涙目になりながらも顔をあげるとそこには…
「先生っ!?」
俺はてっきり、頭を殴ったのは勝矢だと思っていた。いや、勝矢が殴ったのは間違いではないのだが…頭には確かに二発当たった。片方がまさか先生だとは思わなかった。
「痛っ、じゃねーし。お前、そんなに簡単に諦められる程度だったのかよ?美香子への想いは」
珍しく勝矢が、俺に怒りを見せたので驚いてしまった。
「…だったら、その辺の軽い気持ちで“ひとめぼれ”するヤツらと対して変わんねーじゃん」
勝矢が言った言葉が突き刺さる。たしかに勝矢の言うとおりだ。チャラいヤツらと全然変わらない。
「…」
「櫻井くん、アタシも櫻井くんがそんな気持ちだったら美香子ちゃんのことを許せない」
先生も重々しく言い放った。確かにそうだよな、辛い思いをした妹にこれ以上悲しい思いをさせたくないと思うのは当然だ。