愛しのメガネちゃん
電車に乗ると、窓から見慣れた景色が流れていく。そるでもそんな景色より、俺は頭の中にあるあの子の顔を眺めていた。
高校で出会ったあの子のことを。
電車内の独特なアナウンスが目的地に着いたことを告げる。
過去に行っていた思考を戻し、会社帰りのサラリーマンの群れと一緒に電車を降りる。
それにしても、彼女はなぜ俺を誘ったのだろう?俺達が会う時は、いつも俺から誘っていたのに。
電話の時の機嫌のよさもいつも以上だ。好きなヤツ出来たとか言われたらどうしよう…
改札を出て、綺麗にイルミネーションで飾られた広場にでる。いったいどこにいるんだろう。
電話で確かにもう着いたと言っていた。トイレに行っているのだろうか、それとも寒さ凌ぎにコンビニに入ったのか…
ありえるな、だって今日は12月24日クリスマスイブだ。夜は雪が降るとも天気予報で言っていた。
“雪”という単語で気のせいだと思うが、周りの気温が下がった気がした。マフラーを巻き直して電話をかける。
「あーもしもし?待たせてゴメン、今着いたけど…どっか店入った?」
広場に待ち合わせをしているカップルの間を確かめながら一応聞いてみる。