水性のピリオド.
「先輩、言ってることぜんぶめちゃくちゃなんだよ」
「うん、わかってる。嫌いになった?」
「悲しくなった」
そっか。
じゃあ、その悲しみは重なっていったらいつか、嫌いに変わる?
ちゃんと変わるって約束してくれるなら、わたしはこれからはるにひどい言葉をかけるよ。
思いつく限りの罵詈雑言を並べて。
でもさ、はる。
「本当は、わかってたでしょ?」
こんな日が来ることを。
まさか、夜中に簡素なメールでとは思っていなかったかもしれないけど、はるもちゃんとわかってたよね。
わたし達を分かつのは死なんかじゃなくて、もっと軽々としたものだってこと。それこそ、わたしの口調みたいに。
泣き止まないはるの背中を摩ってやった。
こういうことをするから、いけないんだ。
でも、突き飛ばせなかった。突き放せなかった。
油性ペンでたくさん、カンマを打つ練習をしておけばよかったね。
そうしたら、こんな下手くそなピリオドにはならなかったかも。
なにもかも、どれもそれも、今更だ。
「ねえ、はる。なつかしいね」
仕方ないから、はるが泣き止むまで昔話をしよう。
自分語り。もしかしたら、はるが知らないこともあるかもね。
終わりに向かっていこうよ。
夜の向こうには朝が来るけど、その前にはちゃんと、離れてね。