東大寺 瑠璃子
大奥の女たちを男装で骨抜きにした瑠璃子姫はその後もずっと女たちを虜にしていました。

瑠璃子姫が通りかかるたびに女たちは見惚れ、かかわるたびにときめいていました。

柳田様は大奥の風紀を乱したと怒り心頭。
お美偉の方様は自分の侍女たちまで裏では瑠璃子姫派になっていると知り怒り心頭です。

廊下で偶然瑠璃子姫とお美偉の方様は会ってしまいました。
お2人とも微笑み会釈しました。
「上様との夜伽に花魁の格好でお相手したとか。公家のお姫様は遊郭に売られたのですか?おっほほほほほ!」
お美偉の方様の言葉に怒り心頭の瑠璃子姫。ここでブチ切れたら殺してしまいそうなのでグッと我慢し
「上様に毎日楽しんでいただきたいだけです。お美偉様も私と3人でいかがですか?」
「バカにしないで!庶民などではなく旗本の娘。兄の鶴川勝久は一国一城の主!私は武家の姫です。」
「ふふふっ!最初にバカにしたのはあなたの方。公家のお姫(ひい)さんに向かって武家の娘ごときが偉そうに。」
「なんじゃと!?」
騒ぎを聞きつけて柳田様がやってきて
「おやめください!!」
と止めに入りました。
お美偉の方様は柳田様を見て安心し
「柳田。」
と言いました。
「お美偉の方様まで大奥の風紀を乱してはなりません。御台様とお瑠璃の方様には本当に・・・」
近くを偶然通りかかった秀姫様は
「本当になんじゃ?柳田。」
と怒りをこめて言いました。
「御台様。」
とバカにしたような言い方に怒り心頭の秀姫様。
「お瑠璃と私が上様を楽しませるためにしてることを、大奥総取締ごときが口出し無用じゃ。」
「大奥の風紀を乱すものは、たとえ御台様であろうと許すわけにはまいりません。」
「大奥の主催は御台所。そなたの指図は受けぬ。」
そう言って瑠璃子姫の手を取り秀姫様のお部屋に向かいました。
女中たちは羨ましそうに、手をつないだ2人に見惚れてしまいました。
お美偉の方様と柳田様は目を見開きびっくりしました。
主従関係というより、百合関係にみえてしまったのです。
< 26 / 28 >

この作品をシェア

pagetop