諦めと渇き
大男だと思っていた父は、
平均よりも小さかった。
1日ぐらいに感じていた祖父母の家までの道は、
3時間だった。
7人乗りの車、
最後部の座席2つを独り占めして横になって寝ていた。
素足で感じる土や砂利、かかとに刺さる画鋲。
コケて擦りむき、砂と一緒に滲む血。
奮発して買った、500円の筆箱。
周りはアディダスだけど一人アンブロだった。
女子と交換するシール。
溜まっていく匂いのするシール、ぷっくりしたシール、大きいシール。
一日も履いた靴下には穴が空いていた。
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