ただずっと、君が好き
次はスラスラと、聖と付き合う、と書いた。
まあ、知らないわけないか。


四枚目、『木』。
『聖と別れたいと悩む』


……表現の仕方。
夏希に相談したけど、そんな言い方されるとは。


そして最後、『金』。
天形と友達になる。


「……そう言えば、聖とは結局どうなったの?」
「えっと、昨日……別れた?のかな」


付き合っていたのか、別れたのか、そもそも恋人同士だったと言ってもいいのかわからなくて、疑問符をつけて言ってしまった。


だけど、夏希は『聖と別れる』としっかり書いた。


こう、感情抜きに出来事だけを見てみると、案外簡単なものだ。
それにしても……


「濃い一週間だね」


私が言うよりも先に、沙奈ちゃんが言ってしまった。


本当、その通りだ。


もう会えない、諦めなきゃいけないと思っていた相手と、再会して一週間でなんとか友達に戻れるとは、思ってもなかった。


「これはあれだね。うちのバカ兄が掻き回してるね」


そう言い切ってしまうのは、なんだか違う気がする。
聖だって、考えがあって行動したはずだし。


「ひなたはこれから、どうするの?」
「……わからない」


天形に告白する、と言えたらどれだけよかっただろう。


好きな人に好きな人がいて、フラれるのがわかっていながら告白するなんて、こんな怖いこと……
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