ただずっと、君が好き
9.終わりと始まり
「私たちのこと、みんな驚いてたね」


五年後の、中学の同窓会の帰り道。
私の隣には酔いつぶれた夏希をおぶった聖が歩いている。


楽しかった同窓会での会話を思い出す。


「みんなっていうか、高井だろ」
「あー……ね」


天形に勝手に私の連絡先を教えて、私と聖が付き合ってるって思ってた、懐かしの高井。
すぐに別れたってことと、私の今の恋人を知って、ものすごく驚いてた。


みんなは私と天形のことなんて知らなかったから、ずっと一緒にいた聖と付き合ってるって思ってたみたい。


「あとは、ひなた第一の夏希が結婚したってことか。まさか嵐士と結婚するとは思わなかったけど」
「親友が義理の弟って、面白い関係になったね」


あのややこしい恋愛劇から、私にフラれた同盟をふざけて組んで以来、二人はものすごく仲良くなった。


私が心配していたのがバカらしくなるくらい、二人は高校生活を楽しんでいた。


「なんとなく、嵐士は有川と付き合うんじゃないかって思ってたんだけどな」
「沙奈と?」
「ほら、有川だって本当の嵐士を見ようとしてただろ?」


確かに、沙奈も偽りの近江君を嫌がっていたけど、そもそも問題、近江君を好きじゃなかったんだから、結ばれるわけがない。


「……いや、ないな」


聖も同じことを考えたのか、そう呟いた。
否定するのがあまりに早くて、つい笑ってしまった。


「海崎」


あと少しで家に着こうというとき、名前を呼ばれた。
暗くてよく見えなかったけど、近付けばそこにスーツ姿の天形がいた。


高校時代の不良らしさは一切なく、真面目な第一印象を持たれるような見た目をしている。


私と聖は声を殺して笑う。


「……どうせ笑うならしっかり笑えよ」
「いや、ごめ……似合わなすぎて……!」


結局笑ってしまったわけだけど。


「じゃあ、俺先に帰るわ。ひなた、また明日」
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