ただずっと、君が好き

やっぱり、男女でよく一緒にいるってだけでそういう勘違いするのかな。


「そうなんだ……はちまき交換してるから、てっきりそうなのかと」
「え？はちまき交換のジンクスって」


話そうとした瞬間に、沙奈ちゃんの力が強くなり、振り向いた。
沙奈ちゃんは頬を膨らませている。


「いつまで近江と話すの？」


聖にやきもち焼くんだねなんて言ってたのに、沙奈ちゃんだって近江君にやきもち焼いてる。


可愛いなあ。


「ごめんね、近江君。また今度」


そして私たちは近江君から離れた。


「ひなた」


テントに戻っていたら、聖に呼ばれた。


「さっきの約束、覚えてるか？」
「なんでも言うこと聞くってやつでしょ？」
「うん。それさ」


聖は私の頭に手を伸ばす。
そしてはちまきを取った。


「猫耳にする……とかどう？」


絶対嫌……と言えない。
約束したし、私に拒否権なんてない。


「聖、できるの？」
「任せろ」


聖は得意げに笑う。


「なんで矢野できるの？やったことあるの？」


そんな聖を、沙奈ちゃんは軽蔑したような目で見ている。


「妹に教えこまれたんだよ。あいつも自分で上手く出来ないからって、俺にやらせるんだ。学校が違うから、すぐ猫耳にできる状態にして」


自分で聞いたはずなのに、沙奈ちゃんは興味なさそうに返事をする。
そんな沙奈ちゃんに対して、聖は小さく舌打ちした。


そんなやり取りを、私は笑って見ていた。


「ひなた、前向いて」