ただずっと、君が好き
「え、私!?」


仲間外れにされたような、混ざりたいなと思っているときに唐突に言われたから、必要以上に驚いてしまった。


ていうか、私じゃなくて聖が自分でやったらいいと思うんだけど……


「ひなたちゃん、矢野にやってもらったでしょ?お返しに」
「……そういうことなら」


私は聖と向き合うと、聖は戸惑いながらもはちまきを外してくれた。
それを受け取り、はちまきでネクタイ結びをする。


制服でネクタイを結んでいるから、簡単にできると思ってたけど、やっぱり人にやるとなると、少し難しくて手間取ってしまった。


「よし、できた」


なんとかうまくできて、私は聖から離れる。
聖は顔を背けていた。


「聖?」
「聖君は距離の近さに照れたんだよ」


こっそり耳打ちをしてくれた沙奈ちゃん、どこか楽しそう。
だけどそれは聖にも聞こえたらしく、聖は沙奈ちゃんを睨んだ。


「ほらほら矢野、言うことがあるんじゃない?」


沙奈ちゃんは聖に耳を向けた。
聖は悔しそうな表情をする。


「ありがとな、ひなた」


聖はそれだけを言うと、どこかに行ってしまった。


「逃げちゃった。沙奈様、ありがとうございましたって言わせたかったのに」


内容も内容だけど、そんな言い方、聖は絶対にしないと思うよ……
< 19 / 156 >

この作品をシェア

pagetop