ただずっと、君が好き
……なるほど。
沙奈ちゃんが本当の自分を隠していた理由がなんとなくわかった気がする。


お母さんに予想外のことを暴露されたからか、沙奈ちゃんは顔を赤くしている。


「あのころは加減を知らなかったの!今はちゃんとしてる!」
「でしょうねえ。じゃなかったら、ひなたちゃんみたいに大人しい子と友達になんてなれるわけないもん」


これは反応がしにくい。


「沙奈はからかうのは聖だけでいいもんね?」
「ちょっと夏希!」


珍しいものを見ている気分。
あの沙奈ちゃんが動揺して振り回されてる。


「聖?お友達なの?」
「私の兄です」


夏希の答えに、お母さんの手が止まる。


「さーちゃん……とうとう年上に手を出すようになったの……?」
「言い方気を付けてくれないかなあ!?同級生だよ。夏希の双子の兄!夏希も、わざとでしょ!?」


夏希は少し舌を出す。
本当に二人は似ているなと思いながら、一人寂しく食事を続ける。


「癒し系ひなたちゃん」


妙な呼び名をつけられて、戸惑い気味にお母さんのほうを見る。
ただ何も言わずに笑っているお母さんは、沙奈ちゃんに似ていた。


「おいしい?」
「あ、はい!すごくおいしいです」
「よかった。無言で食べてたから、我慢して食べてるのかと思った」
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