ただずっと、君が好き
聖の言葉を冗談として流せなかった私は、気まずい空気のまま家に着いた。


「ひなた」


家の中に入ろうとドアノブに手をかけたら、聖に呼び止められた。
手をそのままにして、聖のほうを向く。


「さっきの……やっぱ冗談じゃないから」
「さっきのって……」
「じゃ、また明日」


聖は私の質問を聞くより先に、帰っていってしまった。


私は深く考えないうちに自室に入る。
荷物を適当に床に置き、ベッドにダイブする。


「冗談じゃない……て……」


あの告白もどきが、冗談じゃないってこと……?
じゃあ……聖が好きなのって……


いや、これ以上はやめておこう。


聖の気持ちを考えるけど、どれだけ辛い思いをしてきたのか、計り知れない。


謝りたいような、謝ったらいけないような、なんとも言えない気分だ。


枕に顔をうずくめていたら、制服のポケットに入ったままのスマホのバイブの音がした。
一通のメッセージが届いたらしい。


見たくない気持ちが強く、ゆっくりとポケットからスマホを取り出す。
メッセージを確認すると、送り主は天形だった。


『元気?』


スマホを投げたくなる衝動に駆られた。


何が元気?
なんでそんなこと聞いてくるの?
こっそり人に私の連絡先聞いて、言いたいことがこれ?
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