この空に、全ての願いを託して。
澄佳はその日の夜、不安定な精神状態になっているにも関わらず、安定剤を飲んでいなかった。
夜になって部屋で泣いている澄佳の姿を見つけ、千穂の勘は当たった。
澄佳が写真部の部長になったのは、前の部長が信頼してのことらしく、責任感が強すぎる澄佳には押しつぶされそうになるくらいの事で頭がいっぱいになってしまっていた。
もし、このまま部長を続ければ写真を撮ることが好きだったことさえ嫌になってしまうのかもしれない、と千穂は思った。
「お姉ちゃん。今、大丈夫?」
澄佳が少し落ち着き始めたところを見計らって、千穂が声をかける。
「お姉ちゃん、そんなに頑張らなくていいんだよ。出来ないことは仕方ないことだから。
無理して背負う必要ないよ。私は写真部のこと、あんまり詳しくないから迷惑かけちゃうかもしれないけど。
啓先輩だっているんだから、そこまで何かしなきゃって考え込まなくても大丈夫だから」
「でも、前の部長みたいに、完璧に出来ないからっ…」
澄佳にとって、任せられたものは完璧にやらなきゃいけない。という責任感の強さが、余計に苦しめていた。