この空に、全ての願いを託して。
「ちぃちゃん…っ…」
そう言って、澄佳は千穂を見ながら腕を横に広げた。
澄佳は不安なのだ。
何をしてても、周りの人たちからは凄いって言われて。
実際は何も出来ない自分が嫌になって、出来なかったところを人一倍反省して何もかも背負って。
千穂が抱きしめることで、少し落ち着かせようと澄佳なりに頑張っていた。
抱きしめても、溢れてくる涙は相当な量で。
“大丈夫だよ”
そう言いながら澄佳を包み込みながら、何度も何度も澄佳の背中を優しく摩って、澄佳を落ち着かせた。
時間が経ってくると澄佳の涙も自然と止まり、千穂は安心した。
「大丈夫だからね、お姉ちゃん。少しは落ち着いた?」
「うん…もう平気。ごめんねちぃちゃん。また迷惑かけて」
澄佳は泣き疲れたようで、ぐったりとしていた。
「迷惑だと思ってないから。お姉ちゃん、念の為に安定剤飲んでおこう?ちょっとまってて、薬とお水もってくるから」
そんな澄佳のために千穂が取りに行こうと、抱きしめていた手を離すと、澄佳は寂しそうにゆっくりと手を離した。
「……わかった」
それを聞き急いで部屋を出ていく千穂の姿を、ぼんやりと眺めることが精一杯だった。