いつか君を振り向かせられたなら
「32」






矢野の席の横を通る時そう声が聞こえた







バッと横をむくと







「こたえ。まえをむけ」






と口パクで言われた







言われたからには前を向いて歩き黒板の前に立ってチョークを持つ






「さぁ、解けるかな?」







横に立つ先生はニヤニヤしながら挑発してきた






考えてもわからないのでさっき矢野に言われた答えを書いてみた







「出来ました」







先生の方をむくとぶるぶると震えながら






「正解だ」






と悔しそうに言った







ほっとして席に戻るが矢野が助けてくれたことやドアップの顔を思い出して顔が熱くなりドキドキが止まらなかった







ドキドキする胸を抑えながら矢野に







「ありがとう」






と言うとまたスルーされた







スルーされても矢野の優しさを知ったからどこか嬉しかった
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