いつか君を振り向かせられたなら
制服を一切着崩さないスタイルのいい人物



「矢野っ!」



「坂井…」



また矢野は私の名前を呼ぶけれどその声はさっきよりも小さくなっていた



「坂井。なんかいろいろごめんな」


「えっ!いや、全然大丈夫だよ!私よく理解してないし・・・なんか矢野こそ大丈夫!?」



すごい何かをこらえているようなつらそうな複雑な表情をしていた



その表情は私に何かを訴えているようなものでもあった



「いや、大丈夫だから」



「で、でも!なんか・・」



「大丈夫だから」



これ以上聞くな。そのような拒絶が矢野の表情から見て取れた



「まぁとりあえず坂井達は川上たちと同じ班だから。なんかいろいろごめんな」



悲しそうな声でそう言った矢野は私の方には一切目もくれずに通り過ぎて行った




矢野の足音が聞こえなくなってまた旧校舎に静寂が戻る



「なんで私までこんなに悲しいんだろ…」



ぽつりとつぶやいた私の言葉が誰もいなくなった廊下に響いた
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