いつか君を振り向かせられたなら
「どうだ?歩けるか?」






その問いに対して首を横に振ると






「乗れ」






矢野は後ろ向きにしゃがんでそう言った







これはまさかおんぶ!?







そう思った途端心拍数が一気に上がったのがわかった







多分他の子ならおんぶしてもらえるというこの状況に喜んで飛びつくだろう






だけど私は今泥だらけで矢野に迷惑をかけかねない






「いやいや!支えてくれるだけでいいから!重くて持ち上げられないだろうし泥だらけだし!」






「何言ってんだよ。片足かばって歩いたら逆に違う方の足痛めるだろ?早く乗れ。」




「えっ。でも…」




「つべこべ言わず早く乗れ。」




有無を言わせない強い口調




矢野がそろそろキレそうになってきたのを察してお言葉に甘えて乗ることにした




いざ背中に乗ろうとすると心拍数が一気に上がるのが分かった




今乗ったらこのどきどきが矢野にばれちゃう・・・




だけど乗らないと怒られる・・・




行くんだ私!




覚悟を決めてギュッと目を瞑りながらかがんで待ってくれていた矢野の背中にのっかる
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