いつか君を振り向かせられたなら
必死に矢野は顔を隠そうとしていたが両手で私を支えているので全く隠せていない





「全然顔見えちゃってるよ…」




実際に矢野の顔を見るとゆでダコか!と突っ込みたくなるほど赤くなっていた




「えっ!えっ!どうしたの!?熱!?」




前を向いて歩いている矢野の前髪をかきあげて私の手を当てる





「んー特に熱じゃないな。じゃあなんだろう?」




疑問に思ってまたやのの顔を覗き込むと余計に茹ですぎたタコのようになっていた




「いや、えっ!なんで!?」




「なんでもねーから。お願いだからそのまま静かにおんぶされといてくれ。っこの天然が・・・」




最後のほうは何を言っているのかよく聞こえなかったが静かにしろと言われたらせざるをえない




そのまま無言で矢野が森の中を進んでいく




しばらく歩き続けていると・・・




「あ!響!」






「えっ!良かった〜矢野も一緒だ〜!」






「「「矢野くん!?おんぶ!?」」」






私の無事に安堵する人達の声と矢野がおんぶしているこの状況に叫び出す人達の声が少し先で聞こえてきた
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