いつか君を振り向かせられたなら
いつもなら矢野を見ると嬉しい気持ちになるのに今は矢野の周りを漂う黒い空気にただただ危ないものを感じた




「お前今何言おうとしてた?」




まるで私のことは見えていないかのように私の方には一切目もくれず矢野が悠斗に聞く




「いや…特に何も」



「ふーん」



「えっ。いや。ふーんって・・・」




なんでもスマートにこなす悠斗が珍しく予想外の返しにうろたえているようにみえた




「ん?なんだ?それ以外の回答が欲しかったか?よかった〜とかでも言って欲しかったか?」




眉毛をぴくぴくさせてこぶしがふるえている




これは相当怒っている・・・




このままだと矢野は悠斗につかみかかりかねない勢いだ





止めないと喧嘩になってしまう!




捻挫のことを忘れて車いすから立ち上がろうとして痛みでまた座ってしまう




仕方ない。これは車いすごと動くしかない!
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