いつか君を振り向かせられたなら
音の先は向かいの河川敷だった






向かいには同じ学校の制服姿の男の子






河川敷の岩の上でアコギをひいていた






聞いたことない曲だったがどこか懐かしさのあるメロディーを含んでいた







「すごい…」






思わずそう口にしてしまうような上手な演奏







演奏が終わった時拍手をしてしまった







川幅は大して広くないので私の拍手が相手に届いたようだ






相手はびっくりした顔をしてこちらを見た







綺麗な顔






その人の顔を見た瞬間目を奪われた






遠くからでも分かるキラキラとした目が私を捉えて離さない






声が出せなくなって動けなくなる






しばらくして相手が視線を外した






だけど私は視線をその男の子から外さない






私は話をしてみたい一心で声をかけた







「あ、あの!」






大声でそう叫んだ






しかし絶対に声は届いているはずなのにまるで聞こえていないかのようにその男の子はギターをケースに閉まって傘を開いていなくなってしまった
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