さよなら、センセイ

ヒロは無事に大学を卒業した。


そして、ヒロは22歳で《アリオン・エンタープライズ社》若社長となる。


起業時から常に最前線で会社の運営に携わっていた。
だが今までは、学生が本業として、一条拓人が名目上の社長を務めていた。
一条は、既に二年前には経営から手を引いていたが、ヒロが卒業するまではと、見守ってくれていたのだ。


ヒロが大学を卒業し、二足のわらじの片方を脱ぎ、社長業一本になったとたん、アリオン・エンタープライズ社は変貌を遂げた。

まず、アリオン社との連携をより密にした。
ハードは、アリオン。
ソフトはアリオン・エンタープライズ。
その方程式なら、オーディオ機器はもちろん、携帯電話でも、パソコンでも簡単にスムーズに最高の音楽を提供します、と。

しかも、音に関しては妥協しない。音のエキスパート達が常に高品質で提供、おまけに一度のダウンロードでアリオン社製品なら何でもマルチ対応。

アリオン社製品の売り上げに貢献した。

そしてその翌年。

アリオン・エンタープライズは、世間をあっと言わせた。

『ALIONミュージック・サーチ』と名付けられたアプリが爆発的なヒットになったのだ。



一躍、アリオン・エンタープライズは時代の寵児となった。

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