さよなら、センセイ
ガチャリ、と鍵の開く音。
疲れ切った恵の“ただいま”の声がしてヒロはベランダから部屋に戻った。

「おかえり、メグ」

ヒロの顔を見た途端、恵の顔に笑みが浮かぶ。
電気をつけてバックを放り出すと恵はヒロにグッタリとした体を預けた。

「はー疲れた〜
ヒロ、遅くなってごめんね。

もぅ、中谷先生と山中先生、部屋まで送るって、しつこくて」


だいぶ疲れているのだろう、ヒロの腕の中でうつらうつらとしていた。

「全くあいつら、疲れて弱ってるメグの送りオオカミになるつもりだったな。
あぶねーなぁ。

こらこら、メグ、まず軽くメシ食べよう。倒れちゃうぞ。
それから、風呂な。今日は明日に備えて早く休もうな」

「うん。明日、晴れるといいねー」

「まぁな、体育祭なんて、かったりぃよ。
テキトーにやるさ。疲れるし」

「もぅ、そんなこと言って。これが高校最後でしょ?楽しもうよ」


恵は大きなアクビ。



恵は、仕事にまだ余裕がない。
いつも全力だから、疲れきってしまう。
でも、毎日がとても充実していて、やり甲斐も感じていた。

それもこれも、全てを受け入れてくれたヒロのおかげ。
気持ちに余裕があるから、仕事も頑張れた。



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