さよなら、センセイ
「結婚?

それなら、高校卒業してすぐだな」

余りの驚きに、皆、ぽっかりと空いた口が塞がらない。
その顔がおかしくて、ヒロは笑いが止まらない。

「彼女を新しい赴任先の高校で『丹下先生』にする為にちょっと急いだ。

離れなきゃならなかったからな」


「て、ことは。
噂通り、2人は教師と生徒で付き合っていたってことか?」



「俺、高ニまでどうしようもないクズだったろ?

そんな俺を変えてくれたのは、家庭教師としてやって来たあの人だったんだ。

その後、偶然光英学院の教師になって。

でも、皆知ってる通り、俺だけ特別扱いなんてなかったろ?
いつでも、皆に、全力を尽くしてくれた。

そういう人なんだ。

丹下の御曹司なんて関係なく俺を見て、認めてくれる人だから。

だからこそ、俺には必要だった。


ハッキリ言って、今の俺があるのは、あの人のおかげだ。
若社長なんて、もてはやされてるけど、あの人がいなければ俺はただのクズのままだったろうな」


ヒロの告白に、一同、息を飲む。

ここに集うメンバーは、荒れていた頃のヒロもよく知っている。


「なんか、やっぱ、スゲェよ、丹下。
人生、MAXで走ってる感じ」

「わかる気もする。
若月先生みたいな女が側にいてくれたら、絶対離したくないよな」

「最高の女を手に入れて、社長になって。
羨ましいぞ、丹下っ」


我に返った男達は、ため息ばかり。

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