さよなら、センセイ
「あぁー私もついに同情されるようになったかぁ。腐れ縁のアンタ達から選べなんて。
ここまで男運ないと、それもアリかな〜。
ね、めぐみ先生?」
綺羅はニヤリと笑って、恵の肩をツンと突いた。
「ヒロと結婚を決めたのは、そこ?
ヒロがいなきゃ、息もできないくらい、辛かったの?」
「え、あ、私!?」
恵は、急にやってきた皆の視線に頬を赤らめる。
「そうそう。
若月先生と丹下の話も聞きたいぞ!」
「話って…
私は皆と違って、何も変わってない。
確かに、結婚はしたけど、離れていたし、
この六年間、ずっと教師として生徒を見守っていたの。
東京に戻ることになって、教師は辞めようと思ったのだけど、どうしてもと言われて非常勤講師として仕事も続けている。
ただ、歳をとっただけよ。
皆は、ちゃんと大学生活を謳歌して、やりたい仕事を見つけて。
すごく成長したね」
「若月先生、そんなこと、ないよ。
先生の雰囲気、少し変わったよ?」
「あ、俺も感じた。
前より、余裕があるというか…」
「うんうん。
前より更に包容力がアップしてる」
思いもかけない評価に恵は嬉しそうに破顔して、ヒロを見た。
「やっぱり、教師が天職だ。
辞めなくてよかったな。
俺も、先生に相談してもいいかな?」
「え?
い、いいけど…仕事のことなら、役に立たないよ?」