さよなら、センセイ
「ただいま!
花音ちゃん達、もう来た?」


そこへ額に汗をにじませながら恵が帰って来た。

「まだ。
あ、これこれ。ありがとう、母さん」

恵の手から菓子の入った買い物袋を受け取って、孝弘は、ヒロによく似た笑顔を浮かべた。


「あ、皆、今日の夜のパーティ、忘れてないよな?」

リビングでコーヒーを飲んでいたヒロがふと思い出して声をかけた。

「大丈夫。
あとで、いぶきさんとジュンさんのお店にドレスとタキシードを取りに行くことになってる」

「え、いぶきおばさま、日本にいるの?
うわぁ。今日のパーティ断然楽しみになってきた〜」

桜木いぶきは、一条拓人と結婚した。
今は一条グループの顧問弁護士を務め、いつも海外を飛び回っていた。

初音は特にいぶきに懐いている。


恵は、ソファに座るヒロの隣に腰を下ろした。
ヒロは、当たり前のように恵の肩を抱き、恵の体を自分に引き寄せた。

初音も、孝弘もそんな両親の隣にくっつくように座る。

丹下家の、いつもの休日の風景。


辛い時も悲しい時も、信じ合い、支え合い、いつも家族一緒にに乗り越えてきた。

ヒロと恵の築いてきた時間は、笑顔と幸せに満ちていた。

それは、きっと、これからも…




END



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