さよなら、センセイ
恵の願い叶って
暑くも寒くもない、さわやかな五月晴れになった日曜日。
光英学院高校の体育祭が開催された。
ヒロは走っても速く、目立つ。
ヒロが競技に出るたびに黄色い歓声が上がった。
ただ、本人からはあまりやる気が感じられない。
一方の恵は、スタートでフライングのチェックをしたり、ゴールテープの側で順位を確認したりと、大忙し。若い女性教師は貴重なので、引っ張りだこだ。
「あ、いたいた、若月先生、お願いします」
3年生の競技、借りセンセイ競走。指示された教師と指示されたように走ってゴールするもの。校長まで借り出され、生徒と腕を組んで走っている。
まず恵の名を引いたのは、背の低い女子。“おんぶ”と指示があったが、小さい彼女に恵はおぶれない。
「まるで、ネタの大きな寿司みたいだ」
笑い声が起きてしまう。
恵は、泣き出しそうな彼女をヒョイとおぶって、走り出した。
「若月先生!?」
「大丈夫、走るよ!」
ゴールテープを切る。
すると今度は、おおっと歓声が上がった。
「先生、ありがとございます!私、一位初めて!!」
「それは、よかった!」
「めぐみ先生ぇ!次!こっちも!」
休む間も無く、再び呼ばれる。
どうやら若手の教員の名前の割合が多く、恵をはじめとした新任教師は出ずっぱり。
暑くも寒くもない、さわやかな五月晴れになった日曜日。
光英学院高校の体育祭が開催された。
ヒロは走っても速く、目立つ。
ヒロが競技に出るたびに黄色い歓声が上がった。
ただ、本人からはあまりやる気が感じられない。
一方の恵は、スタートでフライングのチェックをしたり、ゴールテープの側で順位を確認したりと、大忙し。若い女性教師は貴重なので、引っ張りだこだ。
「あ、いたいた、若月先生、お願いします」
3年生の競技、借りセンセイ競走。指示された教師と指示されたように走ってゴールするもの。校長まで借り出され、生徒と腕を組んで走っている。
まず恵の名を引いたのは、背の低い女子。“おんぶ”と指示があったが、小さい彼女に恵はおぶれない。
「まるで、ネタの大きな寿司みたいだ」
笑い声が起きてしまう。
恵は、泣き出しそうな彼女をヒョイとおぶって、走り出した。
「若月先生!?」
「大丈夫、走るよ!」
ゴールテープを切る。
すると今度は、おおっと歓声が上がった。
「先生、ありがとございます!私、一位初めて!!」
「それは、よかった!」
「めぐみ先生ぇ!次!こっちも!」
休む間も無く、再び呼ばれる。
どうやら若手の教員の名前の割合が多く、恵をはじめとした新任教師は出ずっぱり。