さよなら、センセイ
遠回りをしようかとも思ったが、時間が迫っている。仕方なく恵は、ヒロと綺羅の前に飛び出した。
「立花さん、丹下くん、こんなところでどうしたの?早く戻って」
「はーい」「はい」
ヒロはペットボトルを手にグラウンドへと向かう。綺羅もそのあとをついて行った。
そんな二人の後ろ姿を見て恵はふと思う。
ーー二人はお似合い、か。
確かにそうだ。高校生同士のカップル。何の問題もない。
『オレの好きな人は、最高の女』
聞いてしまった、ヒロの言葉。
お似合いと言われた綺羅じゃなく、恵を最高の女と言ってくれた。
素直に、嬉しい。
午後も頑張れそうだ。